【基本】生命保険見直しのポイント(基本の仕組みを抑える)
「見直し」「解約」「特約の解除」「減額」の使い分け
生命保険の見直しは、ライフスタイルの変化があったときに考えることが大切です。生命保険について考えることは後回しになりがちですが、よく家や車と比較して高いお買い物といわれるので、それら同様、優先順位を上げて考えることが大切な人や自分の資産を守ることにつながります。
また、見直しの際は、加入した経緯を考えて見直すことと、今の自分にとっての必要な保障やその根拠を示してもらい納得してもらうことが特に大切です。以下では、多くの方が生命保険を見直す際に陥りがちなミスやどこに注意し、自分自身で何を行うと良いのか具体的に紹介しています。
■生命保険の見直しのポイント
・できることは「見直し」「解約」「特約の解除」「減額」の4つ
生命保険の見直しについては、加入の内容を下取りに出して新たな保障内容に見直す方法が一般的です。例えば、結婚したので死亡保障を増やす場合や、子供が独立したので自身の介護への備えに加入内容を見直すケースです。また保険会社によっては、加入の保険の一部を子供等に移すことなども可能です。また、保険料の負担を抑えたい場合には、解約・特約の解約・減額があります。その際は、保険料の負担だけでなく、担当者やご加入の保険会社にしっかりと必要な保障を示してもらい、その中で支払いの可能な範囲で優先順位を決めて減額等を行うことが非常に大切です。
残念ながら、多くのケースで保険料を抑えるためだけの減額等が行われているのが現実で、しかも減額したうえに共済やネット系生保等の安価な保障を購入し、必要な保障と比較して歪な形の保険を準備している方が少なくはないです。減額等を行うときこそ、必要な保障額を示してもらい、慎重に検討することが大切だと思います。
・新しいタイプの保険に注目する
公的な医療保険や介護保険の改正にあわせて、保険会社も色々な商品を開発しています。医療保険では、特に顕著で、日帰り入院対応(昔は20日以上入院が対象)のものやがん治療の放射線の条件(放射線の量の有無に関わらず支給するものなのか)など保障内容が大きく異なるものや最近では認知症保険も増えてきています。
生命保険の考え方も、以前は、死亡保障=生命保険という固定概念も強かったですが、今では共働きも進み、就業不能への備えの重要性が増していくなど社会情勢の変化も考慮する必要があります。
・ライフイベントがあったとき
生命保険の見直しのタイミングは、一般的に、就職・結婚・出産・住宅購入・子供の進学などの自分自身の生活に変化がある時です。結婚等の前向きな変化に際しては、多くの方が生命保険にも目が向くのですが、家族との死別や病気といったネガティブな変化の際は生命保険の見直しは後回しになり、保険料を抑えることに気が回りがちになるので注意が必要です。特にライフスタイルの変化で、養う家族や収支が変わった際は生命保険を必ずあわせて見直すことを生保会社に勤めるものとしてはおススメしています。ついつい面倒で、生命保険は後回しになりがちですが、毎月発生する費用なので、変化とともに敏感になることはとてもお金の有効活用の観点からも非常に大切です。
・保険契約が更新されて、保険料がアップするとき
更新型の生命保険に加入している方は、必ず更新時期がやってきます。例えば、新社会人で加入した方は、それが30代前半で迎えることが一般的です。更新型は、将来のライフスタイルの変化を見据えたものです。ただ、10年後にどうなっているかはその時には分からないので、更新時期(本当は更新の3年ほど前に見直すほうが良い)には見直すことをおすすめします。ちなみに、多くの雑誌で更新型を揶揄する内容が出回っていますが、生命保険の本質を考えると、更新型に加入するのは非常に理にかなっています。
生命保険は、ライフスタイルの変化に応じて見直すのが理想ですが、理想論と現実は異なり、なかなかそういう方ばかりではないです。だからこそ、生命保険は更新型として、現在を合理的な価格で保障を受け、更新が近づいたタイミングでその時期にあった内容に見直すことが現実的にはおススメです。その際に、家族構成、収支、健康診断の結果などを見ながら、自分や家族にとって不安な部分を考えて見直すことが最も現実的な生命保険との付き合い方だといえます。
■生命保険の見直しの手順
・まずは今加入している保険を確認する
第1ステップ 手元にある保険証券を確認
保険証券は専門用語が多いので、正直、一般の方が読んで内容や保障の範囲を把握することは容易ではありません。そこで、プロに相談することをお勧めします。
- 営業マンから加入の場合
加入時の担当者がいる場合はその方に連絡をとることをおススメします。加入時の担当者がいない場合でも、加入した保険会社に問い合わせて、担当者に訪問してもらうと良いと思います。フォロー不足の場合、その会社には不信感もあると思いますが、加入の生命保険については感情抜きで考えることが大事です。一時的な感情で、他社で見直しなどを行うと、不利益を被ることもあり本末転倒です。
- ネット等の非対面で加入の場合や保険の窓口などの来店型ショップで加入した場合
この場合は、ご自身で確認することになりますが、正直難しいので、ネット検索で独立型FPや知人や勤務先に来ている保険会社の営業マンを活用することをおススメします。保険のことで大切な休日の時間をあまり用いるのもどうかと思います。最近の来店型ショップはコンプライアンス強化の観点もあり、正直、加入手続き一つとっても相当時間がかかります。
そのうえ、説明の時間まで入ると相当な時間ロスと情報量の多さに辟易とします。
ちなみに、保険証券を確認する場合に、絶対にお勧めできないのが、来店型のショップに出向くことです。一般的に、来店型ショップは保険の販売を主としています。そのため、保険証券を持参すれば、内容については教えてもらえますが、その後、その契約を見直す不利益や加入した時の経緯をあまり考慮しない傾向にあります(致し方ないとは思いますが)。
生命保険の加入には、加入時の経緯やその商品の持つ特性があります。だからこそ、まずは自身が加入している保険会社に加入の内容を確認するべきだと思います。加入している会社の場合、いきなり営業されることも少ないので、より中立的なアドバイスを受けることができます。
一般に、入れ替わりの多い生命保険業界では、担当者が代わり、さしてフォローされてないケースも多いですが、加入内容の確認については冷静に、加入会社に確認することを強くお勧めします。
第2ステップ どういう観点で確認してもらうか
確認するにあたって注意すべき点は、保障内容が十分かという点に絞られます。
その際に、必ず確認してほしい点が、社会保障(遺族年金等)を勘案して、どれだけ死亡保障や就業不能に対する備えが必要かということです。
それを担当の営業マン等に確認すれば、その根拠を持ってくると思います(もし、それを示さない場合は、担当者を変えてもらうべきです)。それに基づいて、営業マンと一緒に自分の考える不安事項を相談しながら新しい内容を考えていくと非常に納得感の高い生命保険への見直しが可能となります。
生命保険は、最適解はない目に見えない商品です。だからこそ、契約者およびご家族の納得こそが必要です。生命保険の契約は、根拠をしっかりときいて、信頼できると思う担当者からご加入することが非常に大切です。
■今加入している生命保険を解約するときの注意点
・「終身保険」の解約は慎重に考える
終身保険等の「貯まり(解約時に支払った保険料の多くが返ってくるもの)」がある貯蓄性の生命保険については、保障内容ではなく、年数によっては「支払う保険料」と「解約時の受取金額」の関係が重要です。特に、市場金利の高い時期に加入している貯蓄性の生命保険については、生命保険というよりもむしろ貯金と考えたほうが良いと思います。そして、それらの生命保険は、お得なものも多いので、解約は避けたほうが賢明だと思います。
・契約解除するときは、新しい保険が成立してから解除する
切り替えるタイミングについて。既存保険をやめてから新規申し込みすると、診査が通るまで万が一のことがあったときに備えられませんし、下手をすれば無保険状態となります(自動車を無保険で運転するのは怖いと思う方は、生命保険についても無保険状態は同様に考えてください)。
そこで、解約をする場合は、新しい生命保険について成立してからというが絶対です。 一般に生命保険の成立には、保険料の入金から1~2週間が必要です。既存保険の解約を行い、新たな保険会社での新契約を考えている場合は、その保険料が引き去られないように、保険料の請求停止を現在加入の保険会社に依頼するなどの方法もあります。
ライフプランの相談や保険の加入・見直しをお考えの方は、お気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。