ライフプラン作成のススメ(お勤めの会社よりも、「自分株式会社」の将来CFは大丈夫?)
ライフプランの作成目的は、安心感の醸成と人生の目標の見える化
ライフプランのシミュレーションは、ご自身と家族の未来の生活水準を見える化する大事な予測ですが、まだまだ日本では、個人の方でライフプランのシミュレーションをしっかり作成している方は少ないのが現状です。
一方、会社勤めの方などは、会社で来期の営業予測や投資案件の収支予測などの様々なシミュレーションに関わる機会があると思います。会社などで行われるシミュレーションと同様(むしろそれ以上に)、個人も家計の収益を見越しておくことで、必要な備えを行ったり、蓄財したり、お金の用途を明確化していくことで、自身の求める未来設計を行うことは不可欠と思います。あわせて、会社などの複雑なシミュレーションより、個人のシミュレーションの方が正確・精密・そして思い入れを込めて実施することができるのも重要なポイントです。
それでも、個人のシミュレーションは中々進まない背景には、ライフプランのシミュレーションを作成する目的が曖昧であったり、必要性が乏しく捉えられる点りあります。
私の場合、クライアントに対してライフプランのシミュレーションの目的を後述のように説明し、ご自身でライフプランに興味を持ち、定期的にセルフチェックを行えるような形でのコンサルテーションを心がけております。そのため、シミュレーションを行う際は、市販のソフトのシミュレーションではなく、ご自身で編集できる形で納品を行っています。あわせて、 シミュレーションの作成時には、複数のシナリオを構築することをおすすめしています。
今回は、どういったシナリオでの作成を行うか、標準的なケースをご紹介します。(下記は、すべて必要ということではなく、年齢やビジョンに応じて使い分けています)。ちなみに、私は巷でFIREに有効と言われる不動産投資に関する知識は全くないので、シミュレーションに不動産投資を前提としたものは作成していません。
1,チャレンジング・シナリオ
自身が達成したいビジョンに向けたシミュレーション
(例)45歳で住宅ローン完済&55歳でリタイア など
2,マイルド・シナリオ
今の生活をしながら、年収は想定以上に上がらない保守的なシミュレーション
(例)現行年収を45歳まで維持し、その後は5歳ごとに20%ずつダウン など
3,コンサバ・シナリオ
様々なネガティブイベントを想定し、ワーストシナリオ時にどこまで生活水準を
切り詰めれるかといったストレス・テスト型のシミュレーション
(例)様々なストレス・シナリオがありますが、以下のような場合を議論
- 公的年金開始年齢の引上げ(65歳→70歳など)を見越す
- 公的年金額は、想定額から所定の率減額を見越す
- 介護保険料等の天引き額は所定の率増額を見越す
- (持ち家の場合)管理費・修繕積立費は所定の率を増額
- 生活費は贅沢病が治らない前提
- 想像の一歩先をいく費用(介護や病気など想像しえないもの)の引当て
- 年収が所定の率ダウン
- リタイア年齢が想定より早い
- 想定以上の長生き
- 身内で詐欺などの被害に遭うケース など (約30のシナリオを組み合わせ)
上記のようなシナリオ・パターンをベースに、組み合わせを変えるなどして、セミオーダー型のシミュレーションを作成していきます。その上で、シナリオを定期的にアップデートしながら、自身の立ち位置を把握することで失敗確率の削減を目指していきます。
コンサバ・シナリオ(ネガティブ・シナリオ)は、最初戸惑う方も多いのですが、どん底ケースを見える化することで、想定以上に高い年収や、長い期間働くほどシナリオは好転していく(チャレンジング・シナリオの場合、目標に近づく)ので、仕事のモチベーションにもつながります。会社や仕事が好きで仕方ない人はともかく、日々通勤が大変だとか、人間関係が面倒だとか、ノルマが大変だとか、仕事で悩みを抱える人は多いので、それらと向き合いながらも働くことで将来に希望が見えると、モチベーションになるというのが持論です。自己体験でもシミュレーションは仕事の意欲が下がっているときには有効だったと感じています。あわせて、シミュレーションから本当に必要な保障が浮き彫りになるので、たとえば保険商品などの優先度も自ずと見えてきます。
さらに、これらのシナリオを活用して、シミュレーションをご自身でアップデートできるようになれば、必要な金融リテラシーは自ずと身についてきます。ここが正に私が目指しているコンサルテーションになります。
一方、チャレンジング・シナリオは、早く宮仕えから解放されて好きなことに挑戦したいとか、FIREしたいとかの本人の夢で、ひょっとしたら達成できるかなといったレベルでの作成をおすすめします。チャレンジング・シナリオを通じて、シナリオ以上に年収を上げていくモチベーションにもなりますし、この場合は、運用益を考えることや、親からの相続なども見越す必要があります。あわせて、私の場合は、地に足の着いた運用手法(債券・配当などのインカムゲイン)も入れて考えていきます。そうすることで、ご両親と中々話しづらい相続の話を行うきっかけにもなりますし、普段あまり気にしない会社の退職金制度や会社でご加入のDB・DC制度に関心を持つことにもつながります。このように自身の未来が、見える化されることで、考えが深くなり、備えに真剣になります。備えあれば憂いなしとはよく言ったものと思います。
ライフプランはFPの方それぞれが、哲学を持ちながら作成していると思いますし、ターゲットや得意分野は異なりますので、機会があれば色々とお話を聞いてみてください。
(ライフプランが必要な方)
・当面の生活には困ってないが、いつまで働かないといけないか知りたい方
・子供が産まれて、生活費の見直しなどが必要な場合
・共働きだけど、生活費が赤字で見直しが必要な場合
・生命保険の見直しのために、大まかな生活リスクを洗い出したい など
ライフプランの相談や保険の加入・見直しをお考えの方は、お気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。
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